おおらかな歌

忌部首 (万葉集3832)

枳(からたち)の棘原(うばら)刈り除(そ)け倉立てむ

くそ遠くまれ櫛造る刀自

 

枳のいばらを刈りとって倉を立てよう。

クソは遠くにしてくれ、櫛を造るばあさんよ。

中西進 講談社文庫「万葉集(四)」より

 

 

万葉集には、野糞するばあさんの歌があるのだ。

なんとおおらかな!

 

こういうのを義務教育で習えば、もうちょっと古典文学に興味わく子供が増えるのではないか、と思うのだが。

和歌の世界は格式高かろう的な先入観は、学校教育で刷り込まれている気がする。

格式高いのも、悲しいのも、恋しいのも、人をおちょくったような面白いのもあるわけで。

いろいろあるから、イイわけで。

 

 

さて、万葉集を読むと、奈良に行きたくなるのだ。

 

子供の頃、遠足と言えば、大抵は奈良のお寺ばっかりで、当時は辟易していたが。

年のせいだろうか、我が故郷でもないのに、今は奈良が一番落ち着く所だ。

高層建物が少なくて、古墳やらのおかげで緑が多いのが、たぶん優しく感じられるのだろう。

それに、大阪京都より、人の話し方動き方が、ゆったりしてるし。

JRの駅員さんも親切で優しいし。

鹿が自由に生きているのも、時々怖いけど、なんだか和む。

ともかく、ほっとするのよねー。

 

しかし...

この夏は、きっと、バンコクなみに暑いのだろうなあ。

奈良公園の鹿も「しかたおへん」とぼやいていることだろう。

 

そうそ、奈良の鹿と言えば...

♫ 奈良の春日の青しーばに〜

という、吉永小百合さんの名曲(というか迷曲)があったよな。

♫ ふんふんふ〜ん 鹿のふん

 

あれって、何キッカケで出来たんだろう?

鹿の糞の歌をレコード化したい気持ちって、一体どっから出てきたのか?

 

ともあれ、私には、いつまでも、あをによし奈良の都である。