2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

いかに待つべき

藤原定家 久方の中なる川の鵜飼舟いかに契りて闇を待つらむ あれはいつだったか、この夏スペインのマドリードで、気温40度とか報道されていた。 うちの近辺に棲んでいるイソヒヨドリは、例年なら、電柱やら高い屋根のテッペンで、「ここはワシのシマやどー!…

などか昔と言ひて過ぐらん

よみびとしらず あはれてふ事になぐさむよのなかをなどか昔と言ひて過ぐらん 「昔は・・・だったのに」とは、言いがちである。 どうも最近の漫画アニメには、キラキラヒラヒラチュルリラに欠ける、と思う。 無駄に暴力シーンが多いのも気になる。 特に、この…

待つ間のほど

平貞文 ありはてぬ命待つ間のほどばかりうきことしげく思はずもがな 家の中を掃除していて、前々から手を付けられなかった事を思い出した。 不要になった本を古本屋に引き取ってもらうってこと。 掃除の手を止めて、押入れに放置されてた本を見てみた。 する…

サラダ記念日

凡河内躬恒 ます鏡そこなる影に向かひゐて見る時にこそ知らぬ翁にあふ心地すれ 買い物をしていて、ふとショーウインドウに映った自分の姿を見て、『どこのオバハンやねん?』と最初に思ったのは何時だったろうか。 もうかなり前のような気がするけど。。。 …

恋しかりけり

紀貫之 世の中はかくこそありけれ吹く風の目に見ぬ人も恋しかりけり 忌野清志郎が亡くなって、どれくらい経つのだろうか。 目に見ぬ人、だからこそ一層、恋しかりけれ、である。 RCサクセションのアルバムの中では、「BLUE」がダントツで好きである。 ON TIM…

ながめせし間に

土佐 朝なけに世のうきことをしのびつつながめせし間に年はへにけり 「世のうきことをしのぶ」のは、普通の人々の有り様で、うちの爺には当てはまらない。 人生を左右したような大事件でも、すぐに忘れてしまう人なのだ。 であるからして、同じ間違いを繰り…

いづ方へか去る

鴨長明 知らず、生れ死ぬる人、いづ方より来たりて、いづ方へか去る。 また知らず、 仮の宿り、誰が為にか心を悩まし、何によりてか目を喜ばしむる。 その主とすみかと、無常を争ふさま、いはば朝顔の露に異ならず。 「方丈記」の一節。 ほんま、誰のために…

年はふれども

在原業平 おほかたは月をもめでじこれぞこの積もれば人の老いとなるもの 思えば、誕生日がのん気に嬉しかったのは、中学生くらいまでだったな。 厄年過ぎたら、ありがたくもなんともなくなるし。 (「鯉のぼり」のメロディーで) ♫ 忘れ〜て〜なんぼ〜の〜誕…

七夕

建礼門院右京大夫 彦星の行合の空をながめても待つこともなきわれぞかなしき 今日は七夕。 最愛の人を戦で亡くした右京大夫は、七夕にちなんだ歌を沢山残しているが、上の和歌はその一つ。 この歌集、私は歌そのものより、長い詞書が好きだ。 特定の文章を美…

さくらの頃

西行 願わくは花のもとにて春死なむその如月の望月のころ 如月の望月の頃とは、お釈迦さんの涅槃に入った時を指す。 旧暦の如月、西行さんの時代は、もう桜が咲いていたのだろうか? お釈迦さんのように逝きたい... 動乱の時代には、切実であったのかもしれ…

わすれぐさ

素性法師 忘れ草何をか種と思ひしはつれなき人の心なりけり 現代では、忘れ草より勿忘草の方を読み物などでは目にすることのほうが多いだろうか。 「うたの日」でも、勿忘草は何度かお題で出て来たけれど、お題として忘れ草を見たことがない。 忘れ草は萱草…

浄不浄

遍昭 はちす葉のにごりにしまぬ心もてなにかは露を玉とあざむく 遍昭さんは、面白い洒落っ気のある御方だったのだと、この歌から想像する。 おそらく、彼の時代には既に「常楽我浄」が仏教であると信じる人が多かったのだろう。 初期仏教からは正反対になっ…

時鳥

大江千里 やどりせし花橘もかれなくになどほととぎす声絶えぬらむ 例年、柑橘類の木の花の匂いが漂いだすのに合わせるかのように、時鳥の声がするようになる。そして、その花が皆枯れてしまう頃には、その声はしなくなる。 まるで、時鳥と花橘とが一対のよう…