2023-07-03から1日間の記事一覧

わすれぐさ

素性法師 忘れ草何をか種と思ひしはつれなき人の心なりけり 現代では、忘れ草より勿忘草の方を読み物などでは目にすることのほうが多いだろうか。 「うたの日」でも、勿忘草は何度かお題で出て来たけれど、お題として忘れ草を見たことがない。 忘れ草は萱草…

浄不浄

遍昭 はちす葉のにごりにしまぬ心もてなにかは露を玉とあざむく 遍昭さんは、面白い洒落っ気のある御方だったのだと、この歌から想像する。 おそらく、彼の時代には既に「常楽我浄」が仏教であると信じる人が多かったのだろう。 初期仏教からは正反対になっ…

時鳥

大江千里 やどりせし花橘もかれなくになどほととぎす声絶えぬらむ 例年、柑橘類の木の花の匂いが漂いだすのに合わせるかのように、時鳥の声がするようになる。そして、その花が皆枯れてしまう頃には、その声はしなくなる。 まるで、時鳥と花橘とが一対のよう…