時鳥

大江千里

やどりせし花橘もかれなくになどほととぎす声絶えぬらむ

 

 

例年、柑橘類の木の花の匂いが漂いだすのに合わせるかのように、時鳥の声がするようになる。そして、その花が皆枯れてしまう頃には、その声はしなくなる。

まるで、時鳥と花橘とが一対のように。

 

去年は、この歌のとおりに時鳥の声が聞かれなくなるのが早かった。

 

ところが今年は、もう花が落ちて青々とした緑でしかなくなった今になって、戻ってきたのか、また声がするようになった。

 

時鳥の声が好きな私にとっては喜ばしいことなのだけれども。

 

これも異常気象と何か関係があるのかしら、と思えたり。