今時分の晴れた日の野鳥のさえずりというのは、何故にこんなに和やかな気分にさせるのだろうか。
この辺りは野鳥の群れがどこからともなくやって来て、しばし滞在して、またどこかへ飛んでいく、いわば鳥の道の駅的な場所のようである。
何年か前は裏の神社の木にヒヨドリが数百羽やって来て、2年ほどねぐらにしていた。
その期間は夜明け少し前から、あの通る声で一斉に鳴き出し、アラーム要らずで便利でもあったけど。
目覚めると皆してどこかへ飛んでいって、日の入り前には皆どこからか帰ってきて騒がしくして、暗くなると眠って静かになる。
永久に同じ種類の鳥がそうやって住処にするのではなく、数年したら別の鳥の群れと入れ替わるという具合。
2年前まで来ていた鳥の群れは、ヒヨドリより一回り大きく太くて焼き鳥にしたら美味しそうなプクプクしたのだったが、これもまた数百羽の群れだった。
しかし、夕方暗くなるほど遅くやって来て、朝はまだ暗いうちにどこかへ飛んでいくので、はっきりと色が見えず、図鑑で調べるにも調べようが無く、いまだに名前も分からないままだ。
鳴き声はするが姿が見えない代表格と言えば、「鵺のなく夜はおそろしい〜」のトラツグミ。
最初聞いた時は、鳥だとは思わなかった。
あの横溝正史原作の映画の宣伝文句であった鵺がこんな声をしているとは、町中育ちの私には驚きで、たしかに、不気味に山の中で響く鳴き声ではある。
昔の人の皆が本当に、あの声を聞いて妖怪のような姿のものを声の主だと思ったかどうかは怪しいけど(そこまでアホじゃないと思う)。
そして、次に姿が不明なのは、和歌でおなじみのホトトギスだろう。
そんな歌が古今集にも出てくるから。
平安貴族はこれを食べてたようだが、たしかに図鑑で大きさを調べてみると食べごたえがありそうな大きさ。
私は源氏物語の花散里の巻が好きなので、この鳥を見たくて仕方ないのだけど、まだ一度もしっかりと確認したことはない。
でも一度だけホトトギスっぽい鳥が、うちの屋根の上に止まっていたのを見かけたことがある。
大きさといい柄といい似ていたのだが、ツツドリかも知れず、分からない。
その場で鳴いてくれれば、鳴き声は特徴的だから判別ついたのだけれど。
ところで、うちの犬は時々散歩中に野鳥を見つけて捕まえて丸呑みして食べる。
この辺りでは鳥インフルが報告されたりしてるから、食べさせない方が良いのだけども。
あっという間に見つけて、あっという間に飲み込むから、吐き出させるひまもない。
風の強い日は、小さな野鳥が飛んで行けずに草むらや岩陰に隠れているのを犬は知っているようだ。
犬の保存会から野獣の肉を食べさせるようお達示があるので、猪や鹿の肉を食べさせるのだけど(うちで捕れたり頂いたりしたもの)、それが野性の感覚を失わせない秘訣なのかもしれない。
いやはや、食物を食べることは単に栄養を取るだけじゃなく、他にも影響するものだと、この犬を育てていると実感する。
さて、昨日だったか、埼玉で80過ぎのおじいさんが猪に襲われて重症を負ったというニュースを見たけど、うちも他人事ではない。
ついこの間も近くで猪出没の騒ぎがあった。
でも猪の肉は食べると体が元気になる。
捕まったら犬も人間もしっかり頂いている。
特に犬は新鮮な生肉付きの骨が大好き。
それを与えると、その日は他の物を食べようとしないくらい。
山の恵よ、ありがたや〜〜!感謝!